【書評】『まんがでわかるピケティの「21世紀の資本」』の感想・要約。理解しやすいものの、ストーリーには注意が必要
少し前に話題になった、ピケティの21世紀の資本のマンガ版を購入しました。
この本が話題になった際は、左派・右派ともに書かれている内容を引用して様々な意見が出てきて、さらには
「資本を増やさないと金持ちにならない。今こそ株や不動産投資を始めるべきだ!」
といった投資を煽ってくる本まで出版されました。
私は原著の翻訳版は難しすぎると感じ、手は出さなかったものの以下の解説本を読みましたが、とりわけ今回紹介するマンガ版が一番おススメだと感じました。
(とくに翻訳者が解説していることもあるのがおススメのポイントです!)
さて、それであ今回は『まんがでわかるピケティの「21世紀の資本」』の紹介をしていきたいと思います。
理解しやすいストーリーと内容
「まんがでわかる」シリーズはいずれもイラストやストーリを利用して活字版よりイメージしやすい内容になっていますが、こちらも比較的わかりやすい内容となっています。
とはいえ専門色が強い本のため、少し考えないといけない部分が出てきます。
しかし、ピケティが伝えたい以下の内容は非常にわかりやすく理解することができました。
・資本家が投資をして儲かる運用益は、労働者の給料の上昇率を上回る。
→従って、格差はどんどん広がっていく。
・資本家は税金の徴収を免れるために、海外へと資本を移動させる
→非現実的ではあるが、世界的に税金を一定して徴収するシステムを作る。
・格差の是正を行うために教育への投資を行うべきである
他にも様々な内容が出てきますので、ぜひ一度読んでいただきたいと思います。
ストーリーには若干注意した方がよさそう…
理解しやすいストーリーにはなっているものの、登場人物などには影響されないように注意が必要です。
例えば脱サラして投資を始めて億万長者になった人や、不動産投資て儲ける人などが出てきて、働いていても無駄の様に感じるセリフも出てきます。
さらには主人公もカフェの経営を始めたりします。
原著が出版された際、「資本の運用率が高い」という内容を利用して
「株を始めよう 」
「不動産投資は手堅く儲かる」
などと謳った本などが出版されたとも聞きます。
しかし、株や不動産投資で億万長者になった人はほんの一握りで、下手すると多額の借金を背負ってしまう可能性があります。
先述した通り、ピケティが伝えたいことについては正確に書かれていると思いますが、マンガの登場人物に影響されてリスクの高い投資などに走ってしまわないように冷静に本を読んでいく必要があります。
政治的には比較的中立の内容
マンガとはいえ経済に関する本なので少なからず現政権に関しての記述があります。
原著が出版された際には、アベノミクスを肯定しつつ否定派を遠回しに皮肉った解説や、増税や教育方針に関する政権批判をする記事などが見受けられました。
私は右派、左派両方の本を購入しつつ本書を読みました、本書はできるだけそのような政治的な感想は少なく、比較的中立に書かれた本のように感じました。
おわりに
他のビジネス書と比べると考えないと理解できない箇所など、若干難しい部分はありましたが、それでもやはりイメージは掴みやすく理解しやすい本だと感じました。
発売されてから時間が経過されていますが、格差や現状のサラリーマン生活に疑問を抱いている方は一度読んでみてはいかがでしょうか。
ではでは。