不動産投資が生命保険代わりにならない理由
「不動産投資は保険代わりになるんですよ~」という触れ込みは不動産投資の電話勧誘してくる営業マンや、不動産投資の書籍やホームページなどでよく見聞きすると思います。
私自身、投資物件をうまくやりくりすれば保険以上の資産を残せると思いますが、営業マンなどが言い放つ「保険代わり」というのは限りなく嘘に近い、いや嘘と言ってもいい内容に感じられます。
不動産投資をすること自体は資産運用のひとつとして賛成できますが生命保険代わりとしては全く賛成できません。今回はその理由について書いていきたいと思います。
営業マンや書籍などの触れ込み
まず、どのような触れ込みなのかを書いていきます。
①物件を購入して賃貸に出すので基本的にローンの支払いは家賃収入で賄える。
②30年後などにローンを支払いが終わると家賃が丸々収入となり、年金の足しになる。
③売却すれば退職金代わりにもなる。
④また、物件を購入すると団体信用生命保険に加入するので、所有者が亡くなった場合はローンがチャラになる。残された家族は物件を売ってもいいし、そのまま保持し続けて家賃収入を得続けても良い。
実際に私も言われたことがありますし、このような触れ込みが多いのではないでしょうか。
しかしこれら全てには裏があり、とてもじゃないですが「保険代わり」とは言えません。
①ローンが家賃収入で賄えるか?
購入してしばらくは賄えるでしょう。
「月々のローン<家賃」
になり収益もあげることが期待できます。
しかし、築年数が経てば経つほど家賃は下がっていきます。家賃は下落する一方ですが月々のローンは変わりませんので、いずれは
「月々ローン>家賃」
に逆転します。
最初のうちは大した赤字になりませんが30年続くローン返済の中で、どのタイミングで赤字に逆転し、いくらの支出が必要になるかはその時にならないとわかりません。
その他にも購入時に仲介手数料などで物件価格の1割程度が費用が発生しますし、住んでいる人が退去すると部屋のクリーニングや新たな入居者の募集で数十万の費用も必要になり、生命保険のように月々固定でお金を支払えばいいものではありません。
月々固定で支払い続ける(場合によっては安くなることもある)生命保険とは全く異なり、退去などの費用発生に備えてお金を貯めなくてはならないので余計に家計を圧迫することになります。
②年金の足しになる
無事に30年間頑張ってローンの支払いを終えて、晴れて家賃収入が丸々自分のものになるときが来るとします。
築年数は何十年と老朽化しており家賃は購入当時より大幅に下がります。
修繕積立金も上がっていることでしょう。
実際に手元に入ってくるお金はかなり少なくなっているでしょう。
しかも退去が発生すると部屋のクリーニングや次の入居者の募集も必要です。
給湯器やエアコンなど設備も古くなっているため交換する必要も出てくるでしょう。
それらの出費を考えると果たして年金の足しになると言えるでしょうか。
③売却すれば退職金代わり
②で説明した年金の足しにする以外に、ローン完済後に売却すればそのお金が退職金代わりとして入ってくるといった説明も受けることがあります。
しかし30年前後保持し続けた物件にいくらの価値があるかが問題です。
物件検索サイトを利用すると、築30年以上だと500万前後で売却されていることは多々あります。
先述の通り、月々の赤字や退去や入居による一時的な費用の発生を考慮すると、月2万円前後支払い続けて60歳に1000万円払い戻される貯蓄型生命保険の方がよっぽど安定していると言えるでしょう。
④団体信用生命保険でもしもの時も大丈夫
これだけは嘘ではないと言えることかもしれません。
しかし、残された家族が売却するという道を選んだ場合、不動産会社に売却してもらうように申し込みをしたり、売却手数料などが発生したりと何かと負担が発生します。
仮に保持し続ける選択肢を選んだとしても退去後の新規入居者募集など、やることはたくさんあります。
最悪、悪徳な不動産に騙されて変な物件を買わされる危険性だってあります。
生命保険とはわけが違います。
まとめ
生命保険代わりというにはあまりにも出費や負担が大きい不動産投資です。
購入当初は黒字でも、いずれは赤字に転落し、不定期に数十万の出費が発生するような不動産投資は生命保険代わりとは言えません。
また、不動産投資の運用方法の一つに「築15~20年程度の中古物件を購入し、赤字になるおよそ10年後に売却して再び築15~20年程度の物件を購入…を繰り返す」というやり方があります。
このやり方だと赤字も抑えられますが生命保険代わりというよりは不動産ビジネスと言った方が良いでしょう。
生命保険は生命保険、不動産投資は不動産投資と分けて考えるべきだと考えています。
生命保険代わりで不動産投資を考えている方は、今回説明させていただいた内容を吟味して再度検討していただければと思います。