【書評】『コミック版 世界のエリートはなぜ、「この基本」を大事にするのか?』の感想・要約。
数年前に出版されたものの、今でも書店の特集などで平積みされているのを見かける『世界のエリートはなぜ、「この基本」を大事にするのか?』。
なんでも売上が20万部を突破したというベストセラーだとか。
それが最近(2018年3月)マンガ版として発売されました。
よく書店の特集で目に留まった事や「マンガ版だからすぐに読み終えれるかなぁ…」という思いでマンガ版を購入することにしました(それとゴールドマンとかマッキンゼーとか、MBAといった何だか意識が高そうな雰囲気の漂う単語が並んでいる啓発本を読んでみたいという好奇心もありました)。
若手や教育担当の人向けの本らしい
読み終わったときには
「こんなん当たり前のことばっかりじゃないか!」
と、若干憤慨しました。
活字版のAmazonレビューも同じような感想がたくさんあり
「あー先にレビュー読んでおけばよかった…」
と思いました。
が、改めて読み直すと若手や教育担当の人向けの本とプロローグに書かれていました(すいませんちゃんと読んでいませんでした)。
さて、そういうことで、アマゾンレビューでは「当たり前のことじゃねーか」と酷評されていた活字版ですが、マンガ版はどんな感じなのが書いていきたいと思います。
そんなことより「大切にすべき基本」が48種類って多すぎじゃない?
この本には「大切にすべき基本」が48種類書かれています。基本の48項目を抑えれば仕事がデキる人の仲間入りと感じさせるようなストーリーです。
ですが、これは例えるなら「ジムで48種類の筋トレをやれ」と言っているようなものです(ジムに行っても大体5,6種類のマシンを使って鍛える程度じゃないでしょうか)。
これ、簡単なことのように書いてるけど無茶苦茶ムズカシイと思います…
内容についての紹介と感想
今回は48種類の内容について細かく突っ込んでいくと日が暮れるので、ある程度まとめて書いていきたいと思います。
項目によってはかなり雑に書いていますが、ご容赦を。
人脈を大切にしろ、そこにかかるお金に糸目をつけるな。
上司や先輩と飲みに行け。
なんというか当たり前の事ですよね。はコミュ障ですが、上司との飲み会は基本的に断らないですし、たまーに人脈を広げようとイベントなどに参加することもあります。
意識高い系なら「こんなもん学生時代からやってたぜ」と、ドヤ顔をキメられそうです。
この本の趣旨としては、(私と同じ様な)人と付き合うのが苦手な人は、少しずつでいいので色々な人とコミュニケーションを取るようにして人脈を広げていってください。ということを伝えたいのではないかと感じました。
あと、個人的には「週に一回全然関係ない人と交流する」はやってみたいと思いました。
最近は周囲で結婚や異動などで徐々に交流する人が少なくなったので、何か新しいジャンルの人たちと知り合いたいと思っているところです。
食事や睡眠などの健康管理
運動する
健康管理は当然ですよね、社会人なんだから。
なんてことを言ってますが私は半年ほど前にゲームにハマりすぎて仕事に悪影響が出てしまいました。気をつけます、ハイ。
身だしなみを整える
書いている内容についてはほぼ同意です。最低限の身だしなみは整えておくべきですよね。
相手に譲る余裕を持つ
エレベーターなどで譲ってもらえると嬉しいですよね。
ただ、お互いに譲り合って後ろがつっかえるなんてこともありますので、周囲を見て適切に動く必要があるかと思います。
まぁ著者が言いたいのは、知ってる人、知らない人に関わらず大切にしましょうってことですよね。
「すみません」よりも「ありがとう」を言う
本書の内容は「すみません」は曖昧な言葉だから、「ありがとう」と「申し訳ございません」と、はっきり伝えましょうということです。
しかし、タイトルだけを見ると「謝罪はいらない、感謝の言葉を重視しろ」って解釈してしまいそうですが、そういうわけではないので注意して読まないと勘違いする読者が出てしまいそうです。
稀に「謝罪はいらない、それよりも先を見据えて前向きに考えるべきだ」などといったネット記事を見かけますが、「謝罪し、反省したうえで先を見据える」ことの方が重要ではないでしょうか。まぁ「相手への誠意」を伝えるように努力すればOKだと個人的には思います。
自分なりに考えて意見をもつ
ネットニュースではなく新聞をみて自分に興味のない記事を読め
ロジカルシンキングでしっかりした意見を考え出せ
まぁ社会人になったらよく言われますよね「お前の意見はどうなんだよ!?」って。
新人だったころの私は「新入社員の俺がそんなこと知るかよ!OJTなんだから教えろよ!」なんて心の中でブチギレていました。
本書では自分で意見を言えるようになるために色々な媒体を使って情報を入手し、論理的な思考を持って意見を出せるように努力をしろって言いたいんだと感じました。
本は「読んだら終わり」ではなく、しっかり考えるべきである
この内容はその通りだと思いました。
自分も読んだらお終いということが多かったので、これからはこの記事のような感想をブログに載せて、しっかりとした意見をアウトプットしていこうと思いました(続けられるかどうかは分からないけど…)。
ただ、本の内容は3倍考えろって書いてのはどうかと思います。普段2時間考えるんであれば6時間考えろって書いてるんですが、さすがにそれは疑問符が付きます。
ガンダムじゃないんだからなんでも3倍にしときゃいいもんでも無いと思います。
ポイントは3つにまとめろ
まぁその通りですよね。相手に話すときはポイントをまとめとかないと何が言いたいのか意味不明ですし。
ついでに突っ込んでおくと「48種類の基本」ではなく「3種類の基本」にまとめて紹介してもらいたかったです。
始業一時間前から準備する
やることは前日にまとめて、翌朝は確認するだけ
始業一時間前に出社とか無茶言うなよって感じです。私は満員電車が嫌なんで一時間半前に出社してますが、他の人に「一時間前に出社しろやオラァ」なんてことは言いたくないです。
ただ、朝早めに出ると人が少なくて集中できますし、頭もよく回ります。それでも、せめて20分前出社とかでもいいんじゃないかと思います。
休日の最後に仕事の予定を確認してオンモードに切り替える
いや…日曜の夜に仕事の確認とか…サザエさん症候群なんてレベルじゃないぐらいに気分が沈んじゃいそうです。
嫌な仕事とかあったら翌朝は布団に立てこもってしまいそう…。
仕事に優先順位をつける
10分前行動を厳守
これらもやはり社会人として当たり前のことですよね。
この本で紹介されてることって全部当たり前のことだけど、新卒の人に対して一気に言ってもできないと思います。時間を掛けてできること、できないことを洗い出して、直していくのが重要じゃないでしょうか。
そう言う意味では新卒向けの本ではなく、新人教育担当向けの本かもしれないですね。
3秒以内にノートを取れる場所に置いておく
これ、3秒って長くないですか?机の上においておけば1秒でとれるでしょ?
自己投資の時間を作る
これって難しいですよね。どこまでが自己投資で、どこまでが趣味なのか。
外国語を学んだり、資格を取ったりするのは誰が見ても自己投資といえるでしょう。
筋トレが好きな人は自己投資と趣味が兼ね備えていると思いますが、筋肉マニアな領域まで鍛えている人はどうなんだろーって思います。
海外旅行が好きな人も、知見を広げるにはいいかもしれないけど、果たして仕事に繋がってくるかと言われると微妙です(人脈は広がりそうですけどね)。
5W1Hでイメージする
出ました。そこら辺でよく聞く5W1Hです。
これ、単語は頻繁に見かけますが実際に仕事で使われたことを見たことがほとんどありません。職種によりけりなのかなぁ…?
仕事を引き受けたら5分限定でやってみる
「ちょっとだけやってみて、どんな感じか教えて」と後輩に言うことは私もよくやります。
反対に私が支持を受けた場合も、5分ほどやってみて「ヤバそう」って感じたら即報告するようにしています。
これ、個人的には重要だと思ったりしています。
上司との報連相を蜜に取る
もはや当たり前すぎることです。
「聞かれる前に報告しろ」といった基本的なことから「上司からの質問に答えられるように仮説をたてろ」と言うのは個人的に好きな内容でした。
自分は新人の頃、よく上司に質問攻めにあって答えられないことが多々あったので、報告前にどんな質問をされるかシミュレートしてから報告する人間になりました(今思えばあの上司、わざと質問しまくってただろ…!)。
続いて会議やプレゼン資料の作り方について書いてます。
ストーリーを意識して作成する
下書きに時間をかける
白黒で見ても説得力のある資料を作る
細部まで徹底し、最後の確認は怠らない
自分の商品だと心得る
「基本」というより細かすぎる注文に見えてきます。
いや、どれも重要です。私も新人の頃に作成した資料はよくダメ出しされましたが、上記のことはよく突っ込まれたものです。
特に最後の確認は今でもよく怠るので注意したいです。
(…結構この本意識付けという意味では良いじゃん。って思ってきました。)
会議はホワイトボードの前に座る
会議で発言しないのは欠席と同じ
ホワイトボードはちょっとよく分からないです。先輩や上司にホワイトボードの前を譲るべきか悩ましいところですよね。これはケースバイケースではないでしょうか。
発言については頓珍漢なことを言ってしまうと逆効果なので考え物です。
これについては「会議でスマートに見せる100の方法」という非常にすばらしい本があり、それの紹介記事を書いていますので、ぜひ確認してもらえたらと思います。
【書評】『会議でスマートに見せる100の方法 』の感想・要約。意外と使える良書かもしれない - 自分自身への知恵袋
メールの返信に気を使う
「すぐに返信すべし。考えないといけない場合はその旨を伝えるメールをすぐに返すること」 という内容ですが、まぁ当たり前すぎてなんともいえません。
英語の勉強は目標を設定し、論理的にコミュニケーションを取れるようにする
なんで英語限定なのか謎です。中国語じゃだめな理由をぜひ教えてほしいです。
目標を設定することもロジカルなコミュニケーションは英語に関係なく当たり前ですよね。
とは言いつつも私も英語を使いこなせるようになりたいです。
愛国心をパワーにする
なぜかいきなり愛国心なんてワードが出てきてビックリです。
グローバルな人材として「ジャパンブランドに自信を持て」って言いたいんでしょうけど、この本を読んでる人でグローバルに羽ばたいてる人間なんてほとんどいないでしょう。
私の働いている会社なんて海外製品を日本に持ち込んで売っていこうなんて検討もしています。
何はともあれ、著者が「愛国心」という単語を使ってしまったがために変な団体に目を付けられないか心配です。
ひとつ上のポジションを意識して仕事をする
まあスモールゴールって言葉もありますし。ワンランク上のポジションに立てるぐらいの実力があるんだぞっていうのは見せ付けておきたいですよね。
個人的な話ですが、私は向上心が年々下がってきてるので、ここはもうちょっと努力せねばと思いました。
会社は退学ではなく卒業する
なんだかアイドルグループみたいですね…。
個人的には逃げるように辞めてもいいと思います。逃げるように異動願いを出したら、次の部署では凄まじく仕事ができる人になっていたなんて話はよく聞きますし。
まぁそこで得れるものを得たら次に行っていいと思います。得られた段階でいつ辞めても「卒業」と言えるのもしれないですね(今なんかちょっといいこと言った気分です)。
自分用のノートを持ち歩く
ビジネス手帳みたいなものですよね。私はタブレットを持っていますが、エクセルで色々ほしい物ややることリストを書いて自己管理しています。
まとめ
以上です。48項目をまとめて雑に紹介するつもりが結構な長文になってしまいました(現在エディタの文字数が5000文字を超えています)。
さて、マンガ版は活字版と異なり、イラストやストーリーがあるため、活字よりイメージしやすいのが良いところです。
様々な本のマンガ版が出版されていますが、本書はこれまでに読んだマンガでわかるシリーズの中では抜群にイメージしやすかったです。
頭でイメージできた上での活字での説明となり、かなり頭の中に入りやすい表現となっていました。
まぁ「こんなマンガ通りにいけば誰だって人生苦労しねーよ」と突っ込みたくなりますが…
冒頭にも書いた活字版のアマゾンレビューに「こんなん当たり前のことじゃねーか」っていうレビューが多かったことや、マンガ版でも「基本」の48種類は全て網羅されていることを考えると、マンガ版で十分な内容だと思いました。
何よりマンガ版だと読みきるのに時間がかからないのが大きなメリットです。
興味のある方はぜひ一度手にとって読んでみてはいかがでしょうか。
【書評】『会議でスマートに見せる100の方法 』の感想・要約。意外と使える良書かもしれない
ちょっと前にネットで話題になっていた「会議で誰よりも賢く見せるトリックというのがトレンドにあがっていました。
ネタ自体は2年近く前のものですが、時代に左右されるような内容ではなく、実際の会議で使えそうな非常に面白い内容でした。
「トリック」というタイトルの通り、有用なビジネススキルを身に付けるのではなく「デキる人っぽく見せる」というジョーク色の強い本ですが、場合によっては本当に評価を上げてることができるんじゃないかというネタがいくつか存在しました。
そんなネタが一冊の本として販売していたことを知り、購入したので本に書かれているネタを何点か紹介しながら感想を書いていきたいと思います。
大まかな内容と感想
内容としては
「通常の会議」
「緊急の会議」
「ビジネスパーティ」
など、ケース別に使えるネタが紹介されていました。
ほとんどのネタは下らなくて、少し笑えるものばかりでしたが、中には
「これを使えば実際に評価を上げられるんでは…?」
と思えるようなネタも紹介されていました。
例えば、相手を褒めたり、一致団結させるような発言をするといったような、メンバーとの人間関係が良好になるような内容が紹介されていて、そういった内容は非常に有効だと感じました。
そこらの自己啓発本よりよっぽど役に立つ
自己啓発本はたまに読んだりしていますが、大体同じようなことを表現を変えて書いているだけのように感じます。
大体以下のような感じでしょうか。
「すぐに行動しろ」
「考えるだけじゃなく、書いて思考を整理しろ」
「朝一にスケジュールを立てろ」
「会社のメンバーと飲みに行け」
「運動しろ」
「身だしなみを整えろ」
「会議では自ら発言をしていけ」
「会議ではホワイトボードの近くに座れ」
などなど、でもこれらの事って、就職したら若手の頃に先輩から教えてもらえることばかりだと思うんです(たまに「別に読む必要なくね?」なんて思うこともあります)。
特に、下2つの会議に関することについては、意味不明で発言のしようがない会議に突然参加させられることなんて多々あるのに、そういったケースの対策なんて書かれた啓発本を見たことがほとんどありません。
頑張って思考を張り巡らせて発言したとしても「はぁ?」なんて反応されることだって多々あります。
ついでにホワイトボードの近くに座れなんて書いてることについては、ホワイトボードを使いたがる人は遠くに座っていても歩いていきます。
しかし、本書はジョーク色が強いものの、そういった意味不明な会議に出席することになったとしても、うまく切り抜ける手段が書かれていました(実際に使えるかはケースバイケースだと思いますが)。
そのネタをいくつか紹介しつつ、私の感想を述べていきたいと思います。
ちなみに「そんなもの当たり前だろ!」とか思われるかもしれません。私も実際にそう思いました。でも、改めて認識するという意味では非常に有意義な時間でした(と、自分に言い聞かせています(笑))。
使えそうなネタの紹介
[終始うなずいてメモを取る]
ぶっちゃけ「お前分かってなくて適当にメモしてるだけだろ」と相手にはバレバレです。
ですが、若手や異動したての人の場合、とにかくメモを取ることでやる気だけはあることが評価されます(まぁ実際の仕事ができなくても「やる気は見せてくれるんですけどねぇ…」といった感じになりますが…)。
うまくいけばボーナスの査定で「やる気」だけは評価されて、最低評価を避ける可能性が出てきます。自分でも積極的に取り入れたいと思いました。
(もっとも、「結果」だけを評価して「やる気」や「これまでの努力」を評価しない上司もいますが)
[相手が問題を提起したら、例を求める]
これは私も時々使う技で会議をしていると「なんとなくこんな問題が起きそう」といったときに笑顔で「あー何となくわかります。でもなかなかイメージが掴みづらいので具体例とか出してもらっていいっすか?」なんて発言します。
そうすると、周りからも「真剣に考えているんだな…」と思われます(実際、質問してる若手を見ると頑張っているように感じたりします)。
ただ、私が相手から「具体的な事例を出せ」と言われると若干鬱陶しく感じる時もありますので、状況によっては不快感を与えてしまうかもしれません。
使うときはできるだけ相手の顔色を見て、下手に出た方がいいかもしれないですね。
[「そりゃすごい」「なるほど」「すばらしい」を連発する]
思い返してみれば、私が今までに参加した会議でも「すげえ」って言うといい感じに会議が進んでいくことが何度かありました。
「すごい」って言われると相手は喜ぶのはもちろんですが、会議の内容が良く分かってなくてもなんとなく使うことができます(「なるほど」などは特に)。
「会議では発言することが重要」なんて言われたりしますが、意味不明な会議に出席させられたときは、相槌を連発しとけばとりあえず存在感だけでもアピールできる有効な手段だと改めて感じました。
まとめ
他にもネタはまだまだありますが、取り立てて使えそうなネタを紹介しました。
会議といっても時間、場所、参加するメンバー、自分のポジション、内容など様々な性質があります。
そういった会議の性質によって使えるネタ、使えないネタが変わってくるかと思います。
会議がある日はパラパラとめくって使えそうなネタがあれば実践していきたいと思えるような本でした。
ぜひこの記事を読まれた方は読んでもらえたらと思います。ではでは。
【書評】『マンガでわかる! 人工知能 AIは人間に何をもたらすのか』の感想・要約。マンガとは思えない程、掘り下げられた一冊
数年前から話題になっているAIについて、雑誌やネット記事で何度も見ることがありましたが、いまいちどういったものなのかはっきりと理解していませんでした。
あまり難しい活字の本を読むと混乱しそうなので、マンガでわかるシリーズを購入しようと思いました。
AIに関する「マンガでわかる」系の本は様々な出版社から販売されています。
今回私が購入した書籍は、本屋でもよく平積みされていてアマゾンでもレビューが多く、評価の高い、活字のAI関連書籍『人工知能は人間を超えるか』の著者である松尾豊さんが監修されている書籍を購入しました。
内容について
マンガのストーリーは、未来都市の様な一般導入されていない最先端のテクノロジーを導入しt試験的に活用している街に主人公たちが見学しに行き、そこでAIやそれらに関連する機器に触れていく話です。
若干AIとは関係ないストーリーがあるものの、そこまで大幅にズレることもないため、マンガパートに対する違和感はありませんでした。
活字パートについて
マンガパートではAIを使ってどのようなことができるか。ということや、AIに関する簡単な説明がありました。
対して、活字パートではAIに関する歴史、どのようにしてAIの内部構造(考え方)について書かれています。
この内容がAIの仕組みなどかなり掘り下げられて詳しく書かれていて、少し考えないといけないと理解できないような箇所が所々ありました。
恐らく活字版の書籍と同じぐらい詳しく内容が記載されているのではないかと感じました。
私が何となく把握した内容としては以下のような感じです。
過去のAIはある程度パターンを人が設定して、そのパターンに沿って結論を出していたためにパターンを設定・管理するのに限界があった。
しかし今のAIではパターンを設定させるのではなく、インターネット上にある大量の情報を利用して、そこからパターンを収集・記憶させることでより精度が上がったというように感じました。
仕事がなくなるといった課題について
このような言葉は様々なメディアで見かけ、不安のあおるような記事を見かけることがありますよね。
本書は監修されている方が専門家であることもあって、単純になくなるわけではないことや、他に取って代わる仕事があることなどが述べられていました。
例えば、歴史を見てもにも農業が機械化することで農作業をする仕事が減ったが、機械を製造する仕事が新たに誕生したことなどについて書かれていて、単純に「仕事がなくなる!」と不安を煽るような内容になっていないところが本書の良いところのひとつです。
(もっとも、農業をやっていた人が農耕機械を製造する仕事に簡単に転職できるわけでないことも述べられています。)
人命に関わる問題が非常に考えさせられる
AIによって自動運転が可能になった場合の事故について、考えさせることが書かれていました。
「走行中に目の前に複数の人が目の前に突然現れた場合、直進すればたくさんの人と衝突してしまう。しかし、ハンドルを切れば1人だけに衝突するだけになる。」
といった内容のことでした。これは恐らく現在の事故でも十分に起こり得るケースですが、AIの場合はどうすべきか非常に悩ましいことだと思います。
人の命に関わるようなことはまだまだ課題が多く、AIにとって代わることは難しいと感じさせる内容でした。
おわりに
マンガでわかるシリーズにしては少し難しい内容でしたが、AIの歴史や考え方、これからの課題について書かれていて、入門書としてはちょうど良い一冊でした。
最近ではスマホなど普段から使用しているツールにも知らず知らずのうちにAIが使用されていることもあるみたいなので、どういったAIが存在し、どのように使われているのか、もっと私なりに調べていきたいと感じました。
【書評】『まんがでわかるピケティの「21世紀の資本」』の感想・要約。理解しやすいものの、ストーリーには注意が必要
少し前に話題になった、ピケティの21世紀の資本のマンガ版を購入しました。
この本が話題になった際は、左派・右派ともに書かれている内容を引用して様々な意見が出てきて、さらには
「資本を増やさないと金持ちにならない。今こそ株や不動産投資を始めるべきだ!」
といった投資を煽ってくる本まで出版されました。
私は原著の翻訳版は難しすぎると感じ、手は出さなかったものの以下の解説本を読みましたが、とりわけ今回紹介するマンガ版が一番おススメだと感じました。
(とくに翻訳者が解説していることもあるのがおススメのポイントです!)
さて、それであ今回は『まんがでわかるピケティの「21世紀の資本」』の紹介をしていきたいと思います。
理解しやすいストーリーと内容
「まんがでわかる」シリーズはいずれもイラストやストーリを利用して活字版よりイメージしやすい内容になっていますが、こちらも比較的わかりやすい内容となっています。
とはいえ専門色が強い本のため、少し考えないといけない部分が出てきます。
しかし、ピケティが伝えたい以下の内容は非常にわかりやすく理解することができました。
・資本家が投資をして儲かる運用益は、労働者の給料の上昇率を上回る。
→従って、格差はどんどん広がっていく。
・資本家は税金の徴収を免れるために、海外へと資本を移動させる
→非現実的ではあるが、世界的に税金を一定して徴収するシステムを作る。
・格差の是正を行うために教育への投資を行うべきである
他にも様々な内容が出てきますので、ぜひ一度読んでいただきたいと思います。
ストーリーには若干注意した方がよさそう…
理解しやすいストーリーにはなっているものの、登場人物などには影響されないように注意が必要です。
例えば脱サラして投資を始めて億万長者になった人や、不動産投資て儲ける人などが出てきて、働いていても無駄の様に感じるセリフも出てきます。
さらには主人公もカフェの経営を始めたりします。
原著が出版された際、「資本の運用率が高い」という内容を利用して
「株を始めよう 」
「不動産投資は手堅く儲かる」
などと謳った本などが出版されたとも聞きます。
しかし、株や不動産投資で億万長者になった人はほんの一握りで、下手すると多額の借金を背負ってしまう可能性があります。
先述した通り、ピケティが伝えたいことについては正確に書かれていると思いますが、マンガの登場人物に影響されてリスクの高い投資などに走ってしまわないように冷静に本を読んでいく必要があります。
政治的には比較的中立の内容
マンガとはいえ経済に関する本なので少なからず現政権に関しての記述があります。
原著が出版された際には、アベノミクスを肯定しつつ否定派を遠回しに皮肉った解説や、増税や教育方針に関する政権批判をする記事などが見受けられました。
私は右派、左派両方の本を購入しつつ本書を読みました、本書はできるだけそのような政治的な感想は少なく、比較的中立に書かれた本のように感じました。
おわりに
他のビジネス書と比べると考えないと理解できない箇所など、若干難しい部分はありましたが、それでもやはりイメージは掴みやすく理解しやすい本だと感じました。
発売されてから時間が経過されていますが、格差や現状のサラリーマン生活に疑問を抱いている方は一度読んでみてはいかがでしょうか。
ではでは。
【書評】『まんがでわかる 伝え方が9割』の感想・要約。原本からさらに分かりやすくなったおススメの一冊です
数年前にベストセラーとして話題になり、今でも本屋で平積みにされていることもある『伝え方が9割』の、マンガ版を見つけたので購入しました。
元の活字版でも非常に読みやすい本でしたが、マンガでストーリーが付いたためイメージがしやすくなりました。
また、他のビジネス書などのマンガ版だと少し強引なストーリー構成などがあったりするものですが、題材が「コミュニケーション」のためか、そこまでひどい印象はありませんでした。
さて、この本は大きく分けて以下の2つの事が説明されています。
①「ノー」を「イエス」に変える技術
②「強いコトバ」をつくる5つの技術
マンガについて
ビジネス書のマンガ化にありがちな「マンガ内に文字が多すぎて結局読みづらい」といったことはほとんどありませんでした。
「コミュニケーションを円滑に取る」という主旨の本ですので、相手との感情のやり取りなどが、マンガ化によって上手く表現できていると感じました。
私が読んだ「まんがでわかる」シリーズの中で最もマンガ化に成功した一冊ではないかと感じました。
ストーリーについて
ファッション雑誌編集部の若手女性編集者が伝える技術を利用して仕事をこなしていく話です。
「まんがでわかる」シリーズ特有の「パッとしない若手女性社員が、ひょんなところで知り合った謎のエリートビジネスマンからアドバイスを受けて、仕事で成功していく」というサクセスストーリーは本書も同じような内容になっています。
ですが、本書の特徴はアドバイスをしてくれる相手がエリートビジネスマンではなく、オネエであることです。
これがかなりパンチが聞いていて物語にグイグイ引き込まれていきます。オネエをいいこと(?)に若干の下ネタや強引な話の持って行き方などもあるため面白おかしく読んでいくことができます。
肝心の伝える技術についても分かりやすく説明されていました。
伝える技術の内容について
『①「ノー」を「イエス」に変える技術』については、上司や同僚、彼氏からNoと言われたことを上手にYesと言わせる方法がマンガで説明されています。
主人公やキャラクターの表情というのが非常に重要で、活字で説明されるより非常に納得しやすく、理解できるものでした。
『②「強いコトバ」をつくる5つの技術』についても出版社に所属というキャラ構成を活かして、いかに読者に響くタイトルを作るかといった説明をされていました。
私が活字版を読んだときは②の説明が強かった印象があり
「なんだ、どっちかっていうと広告のキャッチコピーを作っている人向けの本か」
と思っていました(恐らく活字版を読んだ当時は①の内容が文字だけだとピンとこなかっただけだと思いますが…)。
しかし、マンガ版では①のウェイトが非常に大きく、今一度「伝え方9割」の内容を再確認することができました。
おわりに
今回はコミュニケーションの上手な取り方が主題の本でしたので、非常にマンガ化に適した一冊だと感じました。
オネエのキャラクターも面白く、楽しめるストーリーなので時々読み返して伝える技術をもう一度身に付けてみようと思いました。
ではでは。
【書評】『まんがでわかる 地頭力を鍛える』の感想・要約。分かりやすく、胸が熱くなるストーリーでした。
最近「まんがでわかる」シリーズにはまっています。
私は「ビジネス書や自己啓発書は興味があるものの、活字が苦手だからそんなに時間を掛けて読みたくない…」というズボラ体質な人間なので、この「まんがでわかる」シリーズは読みやすく非常に重宝しています。
また、まんがというだけあってイラストで解説しつつ、ストーリー仕立てになっているところも理解しやすくて好きです。
さて、今回は数年前から話題になっている「地頭力」についての書籍
『まんがでわかる 地頭力を鍛える』
を購入しましたので、感想を書いていきたいと思います。
今回は以下の順で紹介していきたいと思います。
・あらすじ
・感想(良い点)
・感想(悪い点)
・まとめ
あらすじ
まんがのあらすじは以下のようなものです。
主人公は家具メーカーのデザイナーとして就職。しかしなかなか芽が出ず、ついにはリストラ予備軍が配属されるという苦情受付係に異動させられてしまいます。
そんな主人公が、営業のエースといわれる同期から「地頭力」についてアドバイスを受けて、苦情受付係の同僚たちと共に無理難題に立ち向かうといったストーリーです。
まんがパートの中に、活字パートとして地頭力の鍛え方について説明が入ります。
ざっくり目に留まった内容としては
・100点を目指す完ぺき主義ではなく、65点を目指そう
・最後に結論を出すという考え方ではなく、最初に仮説を立ててから考えていく
・全体を俯瞰して考えることで思考の枠にとらわれない
といった内容が、ストーリーに沿いながら説明されています。
これらの内容は、仕事のできる上司やビジネス研修などでもよく聞く言葉ですが、まんがによるストーリーで説明しているため、とても理解しやすかったです。
まんがパートがない活字だけでは「言っていることは分かるけどイメージしづらい…」ということになっていたと思います。
余談ですが、ストーリーが思ったよりもドラマチックで、意外と熱くなりました。ストーリーだけでも楽しめるのでは?と思います。
感想(良い点)
まんがということもあり「地頭力とはなにか」という概要的な、広く浅い内容でした。本の最後には「地頭力」を鍛える書籍の紹介もあり、本書が「地頭力についての入り口」となる一冊として作られたことがうかがえます。
全体を通じて感じたことは
「時間を掛けてひとつひとつ確実に問題を解決して完璧に仕上げる」
のではなく
「スピーディーに、完璧を目指さず、大雑把に作り上げて要所要所を押さえていく」
ということが伝えたいのではないかと感じられました。
本書でも書かれている、AIの時代が到来しようとしている今、人として求められるスキルは何かというのが、私にもほんの少しだけ分かったような気がしました。
感想(悪い点)
良い点に書いた、広く浅い内容が仇となり、「ここがもうちょっと掘り下げて知りたい…!」と思うような箇所があり、痒い所に手が届かない思いにもなりました。
「深く知るためには活字の書籍を購入するしかないか…」と思いました。
まとめ
「まんがでわかる 」シリーズはストーリー仕立てで分かりやすいも多いですが、特に今回は展開が他の作品よりドラマチックで面白い内容となっています。
ストーリーが面白くて読み返すこともあったので、自然と本題の「地頭力」についても理解が深まっていきました。
この書籍に書かれているフェルミ推定など気になる理論なども出てきたので、時間があればそれらの書籍も手に取ってみたいと思います。
ではでは。
【書評】『マンガでよくわかる 教える技術』の感想。ストーリー仕立てて分かりやすい内容でした。
先日、新人を教育する担当になり、社員教育関連の書籍を探すことにしました。
様々な社員教育用の書籍は出版されていますが、書店を歩き回っていて目に留まったのが
『マンガでよくわかる 教える技術』
です。
活字が苦手な私にはもってこいの一冊だと思いました。
さて、そんなわけで実際に読んでみた感想を書いていきたいと思います。
ちなみに本屋を探し回ったものの最終的には電子書籍で購入しました。
今回は以下の流れで書いていきたいと思います。
・おおまかなあらすじ
・マンガと活字の割合
・感想(良い点)
・感想(悪い点)
・おわりに
大まかなあらすじ
本書は『マンガでよくわかる 教える技術』を元に作成された漫画となっています。
アパレル店員として活躍している主人公が、店長になるものの売り上げは上がらず、個性的な部下が多くなかなか思い通りに動いてくれない…
そんな折、日課のランニングで知り合った人から「教える技術」を学び、部下たちひとりひとりに合った教育を行い、店の売り上げを伸ばしていく。
というサクセスストーリーです。
様々なタイプの部下が登場し、その部下ごとに合った教育方法が紹介される。というところが非常に参考になりました。
漫画と文字の割合
「マンガでわかる」シリーズは意外と活字が多く、
「マンガより活字が多くてなかなか読み進められない…」
となることもあります。
本書はそういったことはなく、活字で集中力が切れそうなタイミングでイラストやマンガが挟まれている印象でした。
ボリュームについて
マンガでわかるシリーズだけあり、サクサク読み進めることができました。
活字のビジネス書の半分ぐらいの所要時間で読み切ることができるのではないのかな?と感じました。
原本である活字の『マンガでよくわかる 教える技術』を読んでいませんが、おそらく原本の要点などはしっかり伝えているように感じました。
マンガシリーズで稀に見かける、変なストーリーに走って訳が分からなくなることもなかったです。
感想(良い点)
紹介されている内容のひとつひとつは様々な自己啓発本や、ブログ、ニュース記事などで見かけたことがあるかと思います。
一見すると「どの内容も、どこかで見たことがあるぞ」と思ってしまうかもしれませんが、それらが「教育書」として集約され、さらにマンガでストーリー化され、説明も視覚的になり、具体的な取り組み方法も書かれていることで、非常にわかりやすく、理解しやすい内容となっていました。
本書は
「『2割のできる社員と、8割のそうでない社員』のうち、8割の社員をできるようにする。」
という内容ですが、個人的には
「『2割のできる社員、6割の平均的な社員、2割のできない社員』のうち2割のできない社員を平均的な社員に底上げする」
ための書籍のように感じました。
これは批判的な意味ではなく、昨今から問題になっている「人件費だけを貪るぶら下がり社員」の力を伸ばすということは会社としても重要なことではないかと思います。
また、部下や社員の教育ということを謳った本書ですが、子供やセルフマネジメントにも応用できると感じました。
例えば
「大きな目標を設けるだけでなく、スモールゴールという小さな目標をコツコツこなしていき、やがて大きな目標を達成させる。」
と言ったことが書かれていましたが、これは子供の教育や自分自身の目標達成に対しても非常に有効な考え方だと感じました。
感想(悪い点)
「行動科学メソッド」という学問のように感じるネーミングを使っていますが、本書で紹介している内容について
「この教育を実施する前と後では、売上がこれだけ伸びました」
や
「顧客満足度が何%向上しました」
といった数値やグラフなどを使った紹介がなかったので、そういった事例も合わせて紹介してもらえれば、より理解を深めることができたのではないかと思いました。
原本である『行動科学を使ってできる人が育つ! 教える技術』のアマゾンレビューでも「学術的根拠に欠ける」と言った評価が多かったようです。
「行動科学メソッド」と謳っているのであれば、活字でもマンガでもその辺りの記述は多少盛り込んでほしかったです。
おわりに
マンガというだけあってイメージが非常に掴みやすく、すらすらと読み進めることができ、理解しやすい本でした。
私は電子書籍で購入しましたが、マンガパートは文字が小さすぎて全く読めないといったこともありませんでした。
これから新人教育をするにあたって、実践できそうなところはどんどん取り入れていきたいと思えるようになる一冊でした。
ではでは。